2026年6月12日(金)に開催される第58回日本食品微生物学会学術セミナー in 静岡において、
「Lactobacillus amylovorus の系統学的研究と利用性研究」と題して口頭発表を行います。
| 学術学会 | 第58回日本食品微生物学会学術セミナー in 静岡 |
| 日時 | 2026年6月12日(金) |
| 場所 | 静岡市産学交流センター |
| 発表題目 | Lactobacillus amylovorus の系統学的研究と利用性研究 |
| 発表者 | 山根健司 |
本研究では、ゲノム解析等に基づくLactobacillus amylovorus の新たな亜種分類とその分類手法を提唱しています。
また、本技術は発酵飼料や発酵食品、あるいはプロバイオティクス分野に活用する微生物の探索効率向上につながり、
将来的な産業応用への展開が期待されます。
報告内容(抜粋)
乳酸菌Lactobacillus amylovorus を対象にした比較ゲノム解析(54株)により、本菌種は植物関連環境と哺乳動物環境にそれぞれ適応した二つの系統に分かれることが明らかとなった。また、表現型解析(10株)を統合することで、これらの系統は、それぞれ温度変動耐性や乳代謝といった分離環境に対応した特徴を有しており、環境適応が種内の遺伝的多様性として反映されていることが示された。さらにゲノム情報に基づく遺伝的類似性指標を統合し、植物環境適応型をLactobacillus amylovorus subsp. amylovorus、動物環境適応型をLactobacillus amylovorus subsp. animaliumとする新規亜種分類を提唱した。これは、幅広い環境に分布する乳酸菌において、環境適応が亜種レベルの遺伝的分化として現れることを示す一例である。さらに、機能表現型との関連性を検証するためにパンゲノムワイド関連解析(pGWAS)を行い、特定の環境耐性や代謝能に対応する遺伝子バイオマーカーを同定した。得られたバイオマーカーに基づく菌株選抜戦略は、サイレージ発酵試験および乳発酵試験においても有効性が確認され、経験的試行錯誤に依存しない実用的菌株選抜手法としての可能性が示された。

| 用語説明 | |
| Lactobacillus amylovorus | 乳酸菌の一種。家畜飼料や発酵食品、あるいはプロバイオティクスとしての利用が期待される |
| 比較ゲノム解析 | 複数の菌株の全遺伝子情報(ゲノム)をコンピューター上で比較し、遺伝子の違いや共通点を解析する手法 |
| 表現型解析 | 菌の増殖性や温度耐性、代謝能力など、観察可能な性質(表現型)を評価する解析 |
| 遺伝的類似性指標 | 生物間のゲノム配列の一致度や類似度を定量的に評価する指標 |
| 遺伝的分化 | 同じ種の集団同士が突然変異や自然選択、地理的隔離などによって遺伝的に違いが蓄積する現象 |
| 亜種 | 同一種の中で、遺伝的・生理的な違いに基づき、産業的または臨床的な重要性を考慮してさらに細かく分類される分類単位(種の下位分類) |
| パンゲノムワイド関連解析(pGWAS) | 複数の株に存在する全遺伝子集合(パンゲノム)を対象に、性質や表現型との関連を調べる解析手法 |
| 代謝能 | 糖質などの栄養源を利用して増殖を行える能力 |
| バイオマーカー | 特定の性質と関連する遺伝子の指標 |
| サイレージ | 牧草など飼料作物を乳酸菌により発酵させ、保存性を高めた家畜飼料 |

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