RESEARCH AND DEVELOPMENT研究開発

プラントベース食品への利用研究

市場の拡大と現状

健康志向の高まりや世界的な動物性タンパク質不足等の環境・食糧問題への危機感から、健康上のメリットがあり、持続的供給が可能である植物タンパク由来の代替肉などのプラントベース食品への関心が高まっています。
具体的には、飲料、菓子分野では植物性ミルクや植物性油脂による乳製品の代替、惣菜分野では植物性タンパクによる畜肉や卵白の代替などプラントベース食品の対象となる食品は幅広く、下図のように規模の拡大が続いている市場です。

プラントベース食品イメージ

市場の拡大と現状
TPCマーケティングリサーチ(株)調べ

例えば、植物性ミルクの1つであるオーツ麦ミルクは牛乳よりも低カロリー、低コレステロールで食物繊維を多く含み、また、牛乳アレルギーや乳糖不耐症の方でも摂取可能などの健康メリットが注目されています。
一方、その味質の面では牛乳よりもコクが少なく、あっさりしすぎるといった課題もあります。
その他、植物性ミルクには豆臭や草臭と呼ばれる独特の不快臭を感じるものもあります。
こうした課題に対する弊社製品による味質や食感改善提案の一例をご紹介します。

オーツ麦ミルクへのオリゴ糖・食物繊維の利用例

オリゴ糖、食物繊維の厚み付与、エグ味低減等の味質改善効果により、オーツ麦ミルクの美味しさ向上および味質のコントロールができます。

オーツ麦ミルクに各種オリゴ糖および食物繊維を1w/w%添加し、官能評価を実施しました。
※各試験区の甘味度は果糖ブドウ糖で調整しました。

オーツ麦ミルクに各種オリゴ糖および食物繊維を1w/w%添加し、官能評価を実施しました。
※各試験区の甘味度は果糖ブドウ糖で調整しました。

味質イメージ

オーツ麦ミルククリームへのオリゴ糖・食物繊維の利用例

オリゴ糖、食物繊維を使い分けることで、オーツ麦ミルク由来の穀物の風味をより引き立たせる、または抑えるなど目的に応じて製品の
コンセプトを選択することができます。

<配合例>

配合(w/w%)

原材料 コントロール マイルドオリゴ ゲントース #45 フイットファイバー
#80
フイットファイバー
#80H
ショートニング 24.3 24.3 24.3 24.3 24.3
ハイマルトース シラップMC-55※ 51.2 40.9 49.6 40.9 40.9
グラニュー糖 7.3 7.3 7.3 7.3 7.3
マイルドオリゴ※ - 10.7 - - -
ゲントース #45※ - - 1.6 - -
フィットファイバー #80※ - - - 10.7 -
フィットファイバー #80H※ - - - - 11.0
濃縮オーツミルク 14.6 14.6 14.6 14.6 14.6
水※ 残量 残量 残量 残量 残量
合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

※すべての試験区で固形分が同じになるように調整しました。

味質イメージ

大豆ハンバーグへの油脂加工でん粉(ねりこみ澱粉AM-1)の利用例

油脂加工でん粉により、大豆ハンバーグに硬さを付与し、でん粉によるぬめりを抑制できます。

<配合例>

配合(w/w%)

原材料 アセチル化タピオカ ねりこみ澱粉AM-1
大豆エマルジョンカード
(メチルセルロース含む)
35.1 35.1
粒状大豆タンパク 10.5 10.5
粉末状大豆タンパク 2.6 2.6
アセチル化タピオカ 2.6 -
ねりこみ澱粉AM-1 - 2.6
粉末セルロース 2.6 2.6
刻み玉ねぎ 13.2 13.2
調味料類 7.1 7.1
26.3 26.3
合計 100.0 100.0

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ハンバーグ(直径60mm、厚さ18mm)調製後、直径40mmに切り出したサンプルを使用しました。
レンジアップ直後にレオメーター測定(直径12mm円形プランジャー、1mm/秒)を実施しました。

不快臭(ヘキサナール)のマスキング

植物性ミルク摂取時に、豆臭や草臭と呼ばれる独特の不快臭を感じることがあります。この原因物質であるヘキサナールの揮発量を、長鎖オリゴ糖や環状オリゴ糖により低減することで、不快臭を抑制し、植物性ミルクの美味しさが向上します。

【試験方法及び結果】
1.ヘキサナール水溶液に各種糖化製品を10%(w/w)添加しました。
2.ヘッドスペースGC分析法にて気相中のヘキサナール量を測定しました。
対照区の果糖ぶどう糖液糖でのヘキサナール量を100とし相対比較しました。
不快臭を抑える