RESEARCH AND DEVELOPMENT研究開発

中味強化素材 
日食マイルドオリゴの開発

日食マイルドオリゴとは

日本のみならず、欧米先進国およびアジア諸国においても経済発展とともに食に対する質の向上と選択肢の増加が求められており、食の本質である「美味しさ」についても要求度が高まっております。日本食品化工では、多様化・高度化する美味しさへの要求に応えるため、糖質の構造と「美味しさ」・「機能」との相関について研究を行っております。
「美味しさ」の中でも、糖質の「中味」について着目して開発されたのが日食マイルドオリゴです。

日食マイルドオリゴイメージ
呈味強度と時間

日食マイルドオリゴの開発

糖質は「構成糖の種類」、「重合度」、「結合様式」という3つの要素から構成されており、糖質の種類によって味質や物性、生理機能が異なります。これらの構成要素のうち、重合度と結合様式に着目し中味に寄与する最適構造を検討しました。

糖質の構成要素

重合度の適性

重合度の異なる糖質を3種類調製し、それら糖質を含む飲料サンプルを作製しました。官能評価の結果、重合度②の糖質が最も中味に寄与していることが分かりました。

重要度

結合様式の適性

先の重合度②のうち結合様式の異なる糖質をさらに3種類を調製し、前試験と同様に糖質サンプルを含む飲料サンプルを作製しました。官能評価の結果、結合様式②の糖質が最も中味に寄与していることが分かりました。

結合様式

既存品との比較

先の2つの検討結果から重合度②と結合様式②が最も中味に寄与することが分かりました。そこで重合度②および結合様式②を多く含む糖質を設計し、新たな製品として「日食マイルドオリゴ」を2021年に上市しました。また、同様の方法で、「日食マイルドオリゴ」と当社既存の2製品について中味を評価したところ、「日食マイルドオリゴ」が最も中味に寄与していることが分かりました。

マイルドオリゴと当社既存品との比較

日食マイルドオリゴの機能

日食マイルドオリゴは、α-1,6結合の分岐オリゴ糖であり、各重合度の糖をバランスよく含んでいます。自然でマイルドなコクを付与し、低甘味かつ低粘度を実現しました。食品や飲料の持つ風味をマスキングしないので、素材本来の美味しさを実現できます。

日食マイルドオリゴの食品への機能
中味(コク)の向上
高甘味度甘味料呈味改善  特開2022-44983
レモンの劣化臭生成抑制
低マスキング能(低包接能)
乳味向上
果汁感付与

青字で示している機能データは当Webでは掲載しておりませんが、成果については学会や論文、あるいは特許として発表しております。

レモンの劣化臭生成抑制

レモン香料を使用した飲料は酸や熱により劣化臭が生成することが知られています。マイルドオリゴ、あるいは砂糖を添加したレモン飲料 (HOT)を作製し、2週間保管した後の香味を確認しました(試飲時は55~60℃)。その結果、マイルドオリゴを添加するとレモン香料由来の劣化臭生成の抑制およびレモン感が維持されていることが確認されました。

1. ①砂糖9%、②砂糖9%+マイルドオリゴ 1%、③砂糖10%としたレモン飲料を作製
2. 缶に充填後、加熱殺菌(75℃、10分)
3. 常温まで氷冷した後、 60℃にて保存(2週間)
4. ①を0点としたときの②と③の評価(劣化臭・レモン感)を実施

レモン飲料(HOT)での評価結果
サンプル 評価
マイルドオリゴ レモンの風味や酸味あり・劣化臭低減
対照区(砂糖) レモン感が弱い・劣化臭が強い

特開2022-101339

低マスキング能(低包接能)

日食マイルドオリゴと弊社の既存製品について水溶液を調製し、ヨウ素溶液を用いた包接能力を確認しました。その結果、日食マイルドオリゴの包接能が最も低いことが分かりました。つまり、食品や飲料に添加しても風味を損なわず、素材本来の風味を引き出すことが可能となります。

ヨウ素呈色
DEはDextrose equivalentの略
特開2021-193992

アプリケーション例

ラクトアイス""

ラクトアイス
ミルクティ
ホイップクリーム

乳味感向上

ホットレモン飲料

ホットレモン飲料

レモン感維持・劣化臭生成抑制

めんつゆ

めんつゆ

砂糖代替・出汁感向上

果汁・野菜ジュース

果汁・野菜ジュース

果汁感付与・砂糖代替

クロワッサンなど

ベーカリー系
(クロワッサンなど)

乳味(コク)向上